英米文学科が推薦する辞書
一方,日常の学習,講義の予習復習などではいちいちこれだけの辞書を調べるのは面倒だ,ということもあるかもしれない。しかし最低限これだけは手元に揃えてほしい(そして授業のときに学校に持ってきてほしい)のは
| 『リーダーズ英和辞典 第二版』(研究社) |
| Longman Dictionary of Contemporary English(Longman, 1995) |
| Oxford Advanced Learner's Dictionary of Current English(Oxford University Press, 1995) |
の三冊である。以下,簡単にその特徴を説明していこう。
中辞典サイズながら見出し語27万語という大辞典なみの語数を誇る。また,訳語も吟味されており,新語や口語にも強い。とくに現代の文学作品を読むときに重宝する。なお,この辞典には補遺版というべき『リーダーズ・プラス』があり,新語や口語,熟語などがさらに収録されている。
また,この二冊を収録したCD-ROM版(Windows版,Macintosh版)があり,一度に二冊分の情報が検索できるので便利である。残念なことに,現在販売されているものは『リーダーズ英和辞典』の旧版が収録されている。近日中に最新版が収録されているものが発売されるはずなので,それまで待ったほうがよいかもしれない。
英語を外国語として学ぶ人のために作られた学習用英英辞典の代表というべきものが,この『ロングマン現代英英辞典』(Longman Dictionary of Contemporary English,略称LDOCE)と,次に紹介する『オックスフォード現代英英辞典』(Oxford Advanced Learner's Dictionary,略称OALD)である。英和辞典を使っているだけでは,単語や熟語の語感(どんな「意味」の言葉か,ということだけでなく,どんな「感じ」「ニュアンス」を持った言葉か,ということ)がなかなかわからないことが多いが,学習用英英辞典を使うと理解が深まる。とくにLDOCEは,例文が充実しており,言葉の意味を文脈から把握することが可能である。残念なことに,旧版に比べ収録語数が減り,より初学者向けになっているので,OALDと併用することを薦める。
LDOCEよりも多くの語が収録されており,やや旧式の表現まで載っている。ただし,例文よりも例句が多く,使われている文脈を手がかりに語感を類推することが難しいことがある。LDOCEとの併用を薦める。なお,Windows上で動作するCD-ROM版が出ているが,動作条件が厳しいのでコンピューターに詳しい人以外は手を出さないほうがよい。
なお,CD-ROM版の辞書にはWindows上で動作するものとMacintosh上で動作するものがある。中にはどちらでも動作するものもある(EP-WING CD-ROM版とあるものは日本で定められたCD-ROMの標準規格であるEP-WINGに準拠しているので,どちらでも動作する)が,片一方でしか動作しないものもある。またそもそもWindows版しか販売していない,というものも少数だがある(Macintosh版しかない,というものはほとんどない)。購入するときはかならず動作環境を確かめよう。
また8cm CD-ROM(シングルCDと同じサイズ)を使う電子ブックリーダー(ソニー 電子ブックプレーヤーDT-150など)は,自分で買い足していくことができるので電子辞書より汎用性が高い。通常の12cm CD-ROMより価格も安いが,その分検索方法などが限定されていることがある。
第一に,和英辞典は日本語の慣用表現がそのまま載っているとは限らない。たとえば「彼は芸能人のスキャンダル写真を撮ってマスコミに売るのをメシの種にしている」という文章を英語にするときに,「メシの種」という表現は大きな和英辞典にしか載っていないだろう。それよりも「芸能人のスキャンダル写真を撮ってマスコミに売るのが彼の仕事だ」と日本語を言い換えて考えてみれば,和英辞典をわざわざ引かなくてもよい。
第二に,たとえ探している表現がそのまま和英辞典に載っていたとしても,英文全体の文脈にあったものになるとは限らない。最近の和英辞典では,典型的な状況をいくつかに分類して「こういうときにはこう言う」というように丁寧な解説がついてくることも多いが,そうだとしてもすべての状況を網羅しているわけではないので,実際にその言い方が使えるかどうかはわからない。
外国語学習において,最後まで難関となるのはこのコロケーションの問題である。たとえば日本語で「ミカンの皮をむく」とは言うが「ミカンの皮をはぐ」とは言わない,というのは日本人であれば誰でも知っていることだが,日本語を学ぶ外国人にとって「むく」と「はぐ」の違いを理解することが難しい。同じことが英語にもいえるわけで,そのような間違いをなるべく少なくするために,コロケーション辞典を活用してほしい。
類義語辞典とは,ある単語と似たような意味を持った単語(類義語),あるいは反対の意味を持った単語(反義語)を集めた辞典で,シソーラス(Thesaurus)とも言う。代表的なものに,『ロジェ・シソーラス類語辞典』 (Roget's Thesaurus)がある。英語は同じ単語や表現を繰り返し使うことをきらうので,同じような内容を言い換えるときにどんな単語や表現があるかを調べるために用いる。
なお,収録語数が多ければよいというわけではない。そもそもたかだか見出し語10万〜15万語では,文学作品を読むには不足である。編集方針から考えても,英語の学習に役立つものだと心得て,自分が使いやすそうなものを選べばよい。ここには見出し語が6〜7万の辞書(高校生対象)のものは載せていないが,現在使っているものが使い勝手がよければそのまま使ってもかまわない。それに加えて『リーダーズ英和辞典』を購入すればよいのである。